人生真ん中あたり

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松本清張 鬼畜

松本清張の本は読んだことがないのですが、ドラマは結構見ています。


アマゾンプライムで無料で観れる動画に、彼のTVドラマが結構たくさん入っているのですよ。


先日、ドラマスペシャルの「鬼畜」を見まして・・


題名が結構アレですが、中身もかなりヘビーなものでした。


東京から急行列車で3時間を要するある地方で、32歳の竹中宗吉は、ようやく、印刷屋の主になるところまで漕ぎつけた。
狐のような顔をした妻・お梅との間に、子供はなかった。


商売の順調な宗吉は、ある時、料理屋の女中・菊代に惹かれる。
何とか菊代を養えそうな気がした宗吉は、彼女と関係を持った。好きな女を囲う身分になれたという充足は出世感に近かった。
菊代との間には、3人の子供ができた。


しかしその後、近代的な印刷会社の進出や火事により、宗吉の商売は零落する。宗吉から生活費の貰えなくなった菊代が、3人の子を連れて、宗吉の家に乗り込んだため、お梅にも事態が露見する。


お梅の仕打ちと女房の前に竦んだ宗吉の腑抜けぶりに、菊代は怒り、出て行ってしまう。


3人の子供が残されるが、女房の睨む中、弟は病死、妹は行方不明になり、兄も命を狙われる。(wikiより)


Amazonに入っていたドラマは、2017年制作/常盤貴子と玉木宏が主演のもので、とても良く出来たドラマでした。


「般若のような女」になるには、常盤貴子は少し美し過ぎて、違和感がありましたが、どうしようもない燃えるような炎が、どんどんと心を焼いていく・・という様子が、とても良く出ていました。


貧しさや、行き場のない怒りというものは、やはり一番弱い所(子供)に行くものですね。
ホントは、勝手に外に子供を作った夫の宗吉が一番悪いのに。
なぜか怒りの矛先は、ほとんど子供に向けられる。


松本清張のドラマとしては、異色な雰囲気だったので、ついつい78年に公開された映画版「鬼畜」も観てしまった^^;

こっちは有料の上、数日間という時間制限付き。


・・・これがねえ~・・・リメイク版を上回る衝撃作。


それもそのはず。


主演が緒方拳と岩下志麻ですよ。
恐ろしく人物が「立って」います。


そりゃあ、常盤貴子と玉木宏は負けますよ。


そして、撮影当時の社会事情が緩かったのを反映してか、今ならばけして許されない撮影内容の数々・・子供に対する虐待なんて、結構本気で、あれで辟易する人もいるかもなあ・・。


あまりにも衝撃すぎて、期間内に2回観てしまいました。


主人公の宗吉は、自身も幼少時に親に捨てられ、親戚中たらいまわしにされた上、苦労に苦労を重ねて、一人前の職人になった・・・にも関わらず、自身の子供にもまた、それ以上の苦しみを強いてしまう。


題名の「鬼畜」は、身勝手で自分の事しか考えず、子供に危害を加える宗吉・妻梅子・母である菊代の3人を指すのだと思いますが、一番ダメなのは、どう考えても宗吉です。ベストオブ鬼畜。


宗吉の子・利一や良子は、父親と出かけた先で、裕福で愛情をたくさんかけられている子供たちと、あちこちですれ違います。
その幸福な子供たちをじっと見つめる様子が、なかなか切ない・・・


子供は、小さい頭の中で、色々と「わかっている」んですよね。


2017年度のTVドラマ版では、演出の関係?それとも、時代に配慮したのか、物語はきれいに整えられていて、ラストなども解釈の必要ない終わり方となっております。


が、1978年度映画版では、わからない部分や、見る人の解釈にゆだねられた部分が多々あります。


好みもあると思いますが、個人的には映画版の方が良かった。迫力が違う^^;


松本清張のドラマは、普段、手作業だけの仕事(裁縫とか)をしながら見ているのですが、「鬼畜」は、さすがに仕事をしながらは見れませんでした。


面白かったです。
おすすめ。

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