人生真ん中あたり

長い人生、今がちょうど真ん中あたり。

下流の宴

林真理子の下流の宴を読みました。

以前TVドラマにもなったとか?


実は、林真理子の小説をちゃんと読んだのは初めて。


以前、エッセイを読んだ時に、「林真理子は、好かん・・・・」と思ってしまいまして。


でも、なかなかどうして。


先に小説を読めば良かった!
面白かったです。


東京の中流家庭の主婦として誇りを持つ由美子。

高校中退の息子がフリーター娘・珠緒と結婚宣言をしたことで「うちが下流に落ちてしまう」と恐怖を覚え、断固阻止を決意する。


一方馬鹿にされた珠緒は「私が医者になります」と受験勉強を開始して―─。


 切実な女の闘いと格差社会を描いた傑作ベストセラー。(Amazonより)


主人公の由美子は、貧乏がものすごくキライなのですが、かと言って、お金持ちな訳でもない。いわゆる"中流"の家庭です。


そして、「あちら側」(低学歴、低収入、早婚早産など)と一線を画し、その人達を嫌悪している。


自分の子供が、まさかそうはなるまい・・・と思っていたのに、息子が高校を中退し(つまり中卒)、アルバイト生活に入り、あまつさえ、その状態で同棲している彼女と結婚したいと言って来る・・・。


息子が「あちら側」に行ってしまう危機!


この辺の心理描写も、友美子以外の家族や、周りの登場人物も、とにかく良く描けていて、ぐいぐい引き込まれました^^


こんなにロコツに「自分より格下の人間を嫌悪する人」って、実際にいるの・・・?と疑問を感じますが


レビューを見ると、「どこにでもある家庭」「よくいる母親」との言葉も多いので・・・


割とその辺に、普通にいるのかもね。


お金って、一番分かりやすい判断基準だよなあ・・・・と思います。


お金がたくさんあれば、「上流」でいられる、という価値観は、わからなくもない。実際に、選択肢が広がるし、出来ない事よりも、できる事の方が増えるでしょう。


私も、お金はできるだけ欲しい。
働いているのも、その為だ、という自覚があります。


でも、お金を持っている事と、人間の格は、別もんなんだよね・・・。


ただ、もともとお金を持っていなかった人が、努力でのし上がって行って、大金を手にする・・というのは、やはり尊敬に値すると思う。


人には真似できないほどの努力や、独自の才能や・・・それだけの特別なものを、その人が持っていると思うのです。


急激に成長した企業の初代創業者や、演歌歌手などに多いかも?


いずれにしても、才能・運・努力・・・そして人。全てに恵まれていないと、難しいかもしれません。


友美子自身も、おそらく息子に高給取りになって欲しい、というよりも、それに向って努力してつかみ取る、気概を持ってほしかったのでは?・・・と思います。


皮肉にも、何に対しても無気力な息子よりも、「格下」と嫌悪した息子の恋人や、最大限の自分の武器(美と若さ)で、上質の男をつかみ取ろうとする娘の方が、より由美子の求める資質を持っていたのだと思う。


テンポも良く、さらりと読めましたが、色々と考えさせる小説。


林真理子、なかなか良いのね~^^


また2冊ほど、買ってしまいました。

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